使用の本拠を証明する営業証明書

車庫証明申請をする際、「申請者欄の住所地」と「使用の本拠の位置」欄の住所が違う場合は、その使用の本拠の位置を使用者が現在ちゃんと使っているのかどうかを証明する必要があります。
そしてそれを証明するためには何らかの添付書類が必要となります。

この申請者と使用の本拠の住所地が違ってしまう原因としてよくあるのは、本社と支店が違う都道府県にあるようなケースで、本社名義で車庫証明を取得する場合です。

例えば本社が東京にあって支店が大阪にある会社では、本社名義で車を契約するなら車庫証明の「申請者の住所」は法人の本店所在地となる東京の住所となります。
そしてその車を使う「使用の本拠の位置」は支店のある大阪の住所となります。

この時、大阪の支店が存在する事を証明する添付書類「使用の本拠の位置と使用者の正当な関係を明らかにする書面」を車庫証明の申請時に一緒に添付しなければなりません。

この際に使用される添付書類には下記のようなものがあります。

  • 電気料金、水道料金などの公共料金の請求書
  • 申請人の居住地と氏名が宛名として記載されている外部から届いた郵便物
    (宅急便の送り状も可)
  • 会社の支店の場合は市役所発行の営業証明書でも可
  • 支店の登記をしているなら商業登記簿謄本

この中で一番手軽でお金もそんなにかからないのは「申請人の居住地と氏名が宛名として記載されている外部から届いた郵便物」を使う方法です。

「電気・水道料金などの請求書」のコピーを使う方法もお金はかかりませんが、支店や営業所の公共料金も本社で一括して払っている事もよくあり、その場合は支店や営業所の名前・住所地などが請求書等に記載されていない事もあります。
そうなれば使えません。

それ以外にも支店の登記をしていなければ当然ながら商業登記簿謄本も存在しないので使えなかったりと、状況に応じてどの添付書類を使用するのかについては使い分ける事となります。

今回は、市役所発行の営業証明書を使用する場合の注意事項について。
営業証明書を車庫証明の添付書類として使うケースの解説は、別のページで一度掲載しています。

今回はそれとは別の話。
別といいますか、真逆の営業証明書を添付書類として使えない事もあるという話です。

そもそも営業証明書を発行していない市役所もある

まずは根本的なところですが、市役所によってはそもそもこの「営業証明書」というものが発行されていないところがあります。

一般的に営業証明書とは、その市役所の管轄地域に営業所がある法人で、設置届や法人市民税の申告に基づいて交付されるものです。
場所によっては個人事業主でも発行してもらえるところもあります。
また「営業証明」という名前であっても、役所によって記載内容やその証明書の意味自体が違うものもあります。

そして証明の名前が違うものも多数存在したり。
例えば「営業届出済証明書」という名前にしている市役所もあります。

似たような感じで、法人市民税の申告に基づくものとして「設置証明」や「納税証明」という名の書類になっている役所もありました。

例えば堺市などは、現在営業証明書の発行というものはしていません。
そこで営業証明書の代わりになる証明書は何かあるのかと尋ねてみたところ、納税証明がその代わりになるかなーというかなりあやふやな回答が返ってきました。

どうやら堺市役所内部では「営業証明」と「納税証明」は全く別のものという扱いになっている様子です。

営業証明書を添付書類として受け付けない警察署もある

また警察署によっては、営業証明書は「両者の正当な関係を証明する書面」としては使えないというところもあります。具体的には堺警察など。
ちなみに上述したように現在の堺市では営業証明書ではなく代わりとして納税証明が存在しますが、これを持って行ってもおそらく駄目です。

何故営業証明書を添付書類として使えないのかと聞いてみると、あくまでその証明書は営業所がその場所に設置された事を証明するだけであって、車庫証明の申請時に現在もそこで営業を行っているかの証明にはならないからという理由でした。

これは大阪の他の市の営業証明書ですが、こんな感じの内容です。

営業証明書-1

確かに文面を見るとその営業所が設置された事を違う日に証明しているだけで、現在活動しているのかどうかこの書面からは読み取れません。
そう考えるとその理由には納得できる部分もあります。

とはいえ実務をやる上では、こういった書面でも添付書類として使えるようにしておいてくれたほうが助かるのですが。

なお、堺警察では外部から営業所あてに発送した郵便物を添付書類とするのが一番いいよとアドバイスを受けました。確かに堺警察宛の申請ではその添付書類を使う事が多いです。

どの書類なら大丈夫か警察署で把握していないこともある

さきほども述べた通り、「営業証明」という名前だけでなく似たような証明書をその他の呼び方にしている地域もあります。
単に書類の名前が違うだけならいいのですが記載内容が違う事も結構多いです。

その場合、本当にその書類が添付書類として車庫証明申請時に使えるのか、確認しておかなければなりません。窓口まで持って行ったはいいが使えませんとなると、手間もかかる上なにより申請から受け取りまでの日程が後ろにずれ込む事になってしまうからです。

車庫証明はその後に登録→納車とスケジュールが決まっている場合もあり、出だしの段階で予定がどんどん変わっていくのはあまり好ましくありません。

どうやって確認するかという話ですが、通常は提出先の警察署へ聞くのが一番です。
ただちょっと困るのが、意外と警察署の窓口の人も市役所発行の書類について把握しきれていない、という事実。

例えば以前にあった話。
堺市内のとある警察署で、この「両者の正当な関係を証明する書面」として営業証明書を使ってもいいかと聞いたところ大丈夫という回答。

ただ実はこの段階で堺市が今は営業所を発行していない事を知っていました。
そこでそれを説明した上で、その代わりとして納税証明を使うことになりそうだけれどもこっちの書類でもいいのかと質問。

すると、その場合は一度窓口へ持ってきてもらわないと判断できない、という回答になりました。
役所によっては、質問に対してこの「一度申請してもらわないと判断できない」という回答がくることが時々ありますが、非常に困ります。

特に納税証明などは請求するのに本社の代表印か委任状が必要となります。
委任状にも当然申請者に押印(この場合は法人の代表印)してもらわなければなりません。
追加で依頼者にそれをお願いする事はいいのですが、それをした挙げ句やっぱりその書類は使えませんでしたとなるとかなり具合が悪いです。

結局その時は、無難に営業所への郵便物を使いましょうという話になりました。
そこで急遽その営業所宛てに速達で郵便を送り、営業所でそれを受け取った足でそのまま警察署に申請に行き、無事終了。

そんな感じでいくつかの方法から添付書類を選べるような状況ならそれなりに対応できると思いますが、どうしても営業証明書でなければ駄目ですという事態が発生すると、なかなか大変かもしれません。

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