車庫証明申請書に記入しなければならない項目のひとつに車台番号があります。大阪の書式ではこんな感じにマス目で区切られています。

車台番号とはその車両に付与される固有の番号で、それぞれの車両を識別するものです。原則として同じ車台番号を持つ車は存在しません。

場所によっては車台番号ではなく車体番号と呼ばれる事もあります。両方とも同じものです。
それに対してかなり似た言葉で車両番号というものもあります。こちらはナンバープレートの事です。字面が似ているので間違いやすく、ちょっと面倒。

車両番号(ナンバープレート)は引っ越しをしたりなどで管轄が変わると記載内容も変更されますが、車台番号は一度付与されると基本的に変更される事はありません。
ごく特殊な場合を除けば、永遠に同じ車台番号のままです。

車台番号は車体のどこかに刻印されている

この車台番号は一生涯その車についてまわるものなので、車体の一部に打刻されています。少々事故にあって外観がボロボロになっても判別できるように、刻印されているのは車体の内側にあるフレームなどです。

車種によって車台番号が打刻される場所は決まっており、車屋さんなどは車種名を聞いただけでどこに車台番号が載っているのかすぐに判別がつくほどです。
ただし海外製の車についてはかなり特殊な場所に刻印されている事もあり、探すのに一苦労な事もあります。

漢字を含む車台番号も存在する

この車台番号は、ほとんどの場合アルファベットと数字が入り交じったものとなります。

一般的な車種の場合

ZC6-01×××××
ZRR70-05×××××

以上のような感じ。

ところが希にこの車台番号に漢字が混ざっているものを目にする事があります。
具体的には

東[41]××××××東
大[61]××××××大
国[01]××××××

こういった車台番号です。
これらの車台番号は一体なんなのかというと、「職権打刻」された車台番号です。

職権打刻とは

この職権打刻とは何でしょうか?
Wikipediaより引用してみます。

職権打刻

組立車や試作車、型式不明として登録される輸入車など、ごく少数のみが販売される自動車(オートバイも含む)は運輸支局等で職権により車台番号の打刻を受ける。また、盗難などで車台番号の打刻部分に改竄や切削を受けた場合や、事故などでフレーム交換を行った場合の再打刻にも職権打刻が行われるが、フレーム交換許可申請書で申請し、元の車台番号を運輸支局等で塗抹し、フレーム交換許可書の交付を受けたうえでフレームの交換、職権打刻という流れでおこなう。現在は、あらかじめレーザーにより打刻が施された金属プレートを貼付する方式が採られているが、平成21年6月30日以前は刻印ポンチを用いて手作業で刻み込む方法がとられていた(現在もプレートが貼り付ける場所がないようなものには打刻ポンチを用いて打刻を行っている

wiki職権打刻

よく見かけるのは並行輸入車などエンジンの形式が不明な海外製の車です。
通常、正規のディーラーを通じて輸入販売されている海外の車には、普通の車台番号が刻印されています。

しかし、例えば個人で海外から持って帰ってきた車や輸入代行業者などを通じて子屋内へ持ち込まれた車はエンジン形式も不明で、国内の法に基づく車台番号も存在しません。

その為、各都道府県に存在する陸運支局へ持ち込み車台番号を打刻してもらう事になります。この時に行われるのが職権打刻です。

なお、欧州やアメリカの車の場合、車台番号の代わりにVINコードという名のシリアルナンバーが記載されますが、日本において職権打刻がされてもこのVINコードは車検証の「備考欄」にちゃんと記載されて残ります。
修理などで部品の照合のためシアルナンバーが必要な場合はそこをみれば大丈夫。

また盗難車などはその身元を隠す為にそもそも打刻されていた車台番号を削ってしまう事があります。こういった車に再度、車台番号を打刻する時にも職権打刻が行われます。
職権打刻による車台番号の車は中古車市場で値段があまり高くならない、なんて噂がありますが、これは盗難車である可能性が疑われてしまうからというのがその理由です。

これ以外にも改造や事故などでフレームやエンジンを取り替えたりした場合も職権打刻が行われる事があります。

実際の職権打刻された車台番号がどんなものかはGoogleのイメージ検索で「職権打刻」と打ち込んでみると、どんなものか見る事ができます。

グーグルイメージ検索 → 「職権打刻

職権打刻された車台番号の漢字には意味がある

上述したように職権打刻された車台番号は

東[41]××××××東
大[61]××××××大

以上のように、「漢字+数字」という並びになります。
この漢字とその横にある[○○]で挟まれた数字は、持ち込まれて打刻を受けた運輸支局の場所を表します。

上記の例でいえば「東」は東京、「大」は大阪です。
数字も「41」は東京、「61」は大阪を示しています。

すべての都道府県が一番最初の文字で表されているわけではなく、山梨は「山 48」ですが、山形は「形 33」、山口は「口 75」といったように、ちゃんと判別ができるようになっています。

さらに付け加えますと、北海道は札幌・函館・室蘭・帯広・釧路・北見・旭川と8か所に区分けされており、それぞれで打刻文字が違います。コード番号もそれぞれ違います。

これに加え、最近では「国」という打刻文字が使われるようになりました。

国[01]××××××

昔は上述したようにそれぞれの陸運支局によって打刻文字は違っていたのですが、2009年頃より全国で打刻文字の扱いを統一するという事になり、それ以降に陸運支局に持ち込まれて職権打刻された車台番号は、「国[01]~」から始まるものに変更されています。

車庫証明申請書にはどのように記入するのか

車庫証明の申請をする際にはこの車台番号を記入しなければなりません。
この場合、漢字も含めすべてを記入する事になります。
そして車検証にも漢字を含めた状態で車台番号が記載されます。

ちょっと難しいのが、冒頭にも載せた通り大阪の車庫証明申請書ではこのように車台番号記載欄がマス目で区切られている事です。

他府県の用紙であれば、このように区切らず記載欄がそのまま自由に書けるようになっていたりしますので、少々イレギュラーな車台番号でも問題なく記載できます。

実は大阪の書式でもって、職権打刻された車台番号での車庫証明申請をした事がないのでこれについては今のところどう記載すればいいのかはっきりとはわかっていません。

ただ対応策はいくらでも考えつきますので、もしそういった状況があるとすればとりあえずは提出先の警察署に問い合わせつつ対処していくと思います。

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